眼科スタッフのICLブログ-後編

2022/1/12

眼科スタッフのICL体験記-前編はこちらから

手術室の椅子は歯科や美容室の椅子のような、ゆっくり倒れて仰向けになる椅子です。
(つま先が冷えたので、厚手の靴下をはいて来ればよかったと思いました)
まずは椅子に寝たまま、目の周りの消毒液を洗い流します。
(人によっては、リラックスできるガスを吸うこともあります)
それから顔の上に覆いをかけられます。(手術する眼の部分だけ穴が開いています)

顔の正面にはライトがあります。4つのライトが幸運のクローバーの葉のように集まっています。手術が始まったら、私の役目はこのライト付近を見続けることだけです。
手術中は目に消毒液をかけたり、眼の表面が乾かないように水をかけたりするのですが、そのたびに視界がユラユラ、キラキラ揺れます。水族館で漂っているミズクラゲの傘の中を覗き込んでいるようなかんじです。

(イメージ画像)

私がぼーっとミズクラゲを見つめる間、手術を行う院長や看護師は、眼を開く器具をつけたり、メスを使ったり、粘弾剤という薬剤を眼の中に入れたりと、いろいろなことをしていたようです。
どれも全然痛くなく、いつ行ったのかもわかりませんでした。

メスを使うときも、かすかにチクチクしたかな?というくらい、まったく痛くありませんでした。
レンズを入れるときも痛みはなかったです。

レンズを入れるとき、ぐいーっと押されて視界が動きましたが、痛みはなかったです。
視界の3/4くらいがしばらく黒くなりましたが、そのあとは元のミズクラゲのような見え方に戻りました。
レンズを入れたらすぐに視界が変わるのかと思っていたのですが、あまり変わりませんでした。ライトがまぶしくて、水をかけられて視界が揺れるせいだと思うのですが、手術室を出る直前までは相変わらずミズクラゲの見え方でした。

レンズを入れた後は、レンズの端を眼の中で固定します。このとき押されるかんじがあります。

主観的に、けっこう強く押されます。乗車率250%の電車に乗って駅に到着したときくらい押されます。(圧迫とか、ちぎれそうとか、「うぎゃっ」というかんじです)
それに今までの人生で、眼のこの部分を、この角度で押されたことがなかったので、いろいろ予想外でした。なんとも形容しがたい感触です。
ぐいぐい、ぐいぐいとずっと押されて、長く感じましたが、実際は手術時間は片眼につき数分でした。

それが終わると、もとの穏やかなミズクラゲの世界に戻ります。
私が先ほどの衝撃に呆然としている間、院長や看護師は眼の中に入れた粘弾剤という薬剤を取り除いたり、切開したところを押さえたりしていたようです。
ただ私自身は特に痛みも、いじられている感じもなく、ただぼーっとミズクラゲを見つめて「もう終わりか、良かった良かった」と安心していました。

最後に、開いている瞳を閉じるための薬剤を使います。
このお薬がしみます。
院長も「しみます」と声かけしてくれますが、本当にしみます。眼の中に日焼け止めがたっぷり入ってしまったようなしみ方です。「うぎゃっ」というかんじです。
ついでに鼻の奥もツーンとしてきました。薬剤のせいか、眼にかけられている水が鼻のほうに流れてきたせいかはわかりませんが、小学校の水泳の授業を思い出しました。塩素の濃いプールで泳いだ後のシパシパ感に少し似ています。
このしみる感じはしばらく続きますが、15分くらいで落ち着きました。

眼を開く器具を外し、顔の覆いを取り除き、椅子の背もたれが起こされます。立ち上がるとき、支えてくれた看護師を見て「あっ、名札が読める!」と気づきました。
そういえば、手術室に入るまではシルエットしかわからなかったのに、今は表情までちゃんとわかります。眼がくらんでいるせいか、少しぼやけるけど、それでも今までの裸眼とは全然違う、このまま生活できそうなほど見えていました。

前室で迎えてくれた同僚からは「手術直後だから、ぐったりしてるのかと思ってたけど、意外と普通だね。充血もあまりしてないし」との感想をもらいました。
確かに、一人でも普通に歩けるし、まあまあ見えるし、このまま家まで歩いて帰れそうなくらいでした。(でも贅沢してタクシーで帰りました)
痛みも、最後のしみるお薬の名残か、しばらくヒリヒリ、シパシパしたのですが、15分くらいで落ち着きました。ただ、眼の上のほうに、眼精疲労のひどいときのようなズーンとした痛みがあり、こちらは3日ほどかかって少しずつ治まりました。

手術が終わると、また前室のドッシリとしたリクライニングチェアで1時間ほど休みます。
その間に、薬局の方から手術後のお薬や、眼を保護するためのメガネ、寝るときに使う器具などの説明を受けます。

望月眼科では、ICLの金額の中に以下の料金も含まれています。
・術前術後に使用する目薬
・眼を拭くための清浄綿(1箱)
・術後に内服する抗生剤
・痛み止めの内服(1回分)
・保護用メガネ(術後1週間使います)
・アイカップ(寝ているとき手などが当たらないようにするもの)
・アイカップを貼るためのテープ
・望月眼科ロゴ入りトートバッグ
・術後検診費用(6か月間)

1時間休んだら眼圧を図ります。

診察に入ります。

院長に眼の状態を確認してもらい、終了です。

帰るころには、壁の時計は見えないけれど、人の顔やスマホは不自由なく見えました。タクシーの窓から見える街中の看板の文字も読めました。
帰宅後も、ほとんど普段通りに過ごせました。入浴ができない分、普段より早めに布団に入り、ぐっすりよく眠りました。

翌朝、目覚めてすぐ「あれ、見え方良くなってる」と気づきました。寝る前とは段違いで、壁掛け時計の文字盤が秒針までくっきり見えました。
さっそく検診に行くと、裸眼視力は右1.5、左1.2でした。
(もともとの裸眼視力は右0.06、左0.05だったんです)

その後、2週間ほど経ちますが、見え方に変動はなく、ずっとよく見えています。
当初は暗いところから明るいところに出るとズキズキ痛む感じがしましたが、それも3日ほどで徐々に治まりました。
痛みといえばそれくらいで、どちらかというと暫く頭や顔を洗えないほうが気になるくらいでした。

手術後2週間もたつと生活の制限もほとんどなくなります。手術中や術後の痛みも、今では跡形もありません。
今はただICLの楽チンさや、くっきりよく見える視界に満足している日々です。そのうち露天風呂とかサウナとかスペインのトマト投げ祭りとか、あちこち行ってみたいと夢が膨らんでいます。

ICLを受けて、見え方が良くなるだけじゃなく、気持ちが明るくなって生活にハリというか意欲が出てきた感じもします。今思えば、ICLを受けようか迷っていた数年間がもったいなかったくらいです。これからは、ICLで楽になったぶん、いろいろ挑戦してみたいとワクワクしています。

以上、ICLを受けてみた眼科スタッフからのレポートでした!