ICL(眼内コンタクト)は角膜を削らない目にやさしい術式です。
ソフトコンタクトレンズのような柔らかいレンズを眼の中に挿入し、近視を矯正します。ハードコンタクトレンズのように日常生活の中で外れてしまうこともなく、異物感もありません。
また、レーシックと比べるとドライアイになりにくく、見え方もコントラストが高いくっきりとクリアな視界を得ることができます。
強い近視(強度近視)方や、角膜が薄くレーシックに不適だった方に、適合した術式です。
2020年時点で20年以上の実績のある手術ですが、近年さらに技術革新が進み、より安全性の高いレンズ(VICM5、VTICM5)が開発され、さらに幅広い層の患者さんに手術ができるようになりました。
一般に目の中の水晶体に近い位置にレンズをおいて矯正を行うので矯正精度が高く、ハードコンタクトレンズと比べても遜色のない鮮やかな見え方が得られると云われています。
これまでの調査では手術を受けた方の95%が1.0以上の裸眼視力に回復しており、手術実績は良好です。
近視や乱視が強い方の場合、レーシックによる視力矯正では術後数年で視力が少し戻ってしまう傾向があります。しかし、ICLなら、このような視力の戻りが少なく、長期的に安定した視力を期待することができます。
レーシックではフラップ作成時に知覚神経が切断されるため、一時的にドライアイが生じやすくなります。通常、切断された神経は3ヶ月程度で元に戻りますが、ICLはほぼ切断しないのでドライアイの発生がはるかに下がります。
レーシックでは矯正できる度数には上限があります。また角膜が薄い方の場合、レーシック不適応となり、手術を受けること自体ができません。
ICL(眼内コンタクト)は角膜を削らずに視力矯正を行うので、角膜が薄い方でも手術を受けることが可能です。また、幅広い度数のレンズをそろえているため、レーシックでは矯正できない強度の近視や乱視の方でも視力矯正を行うことが可能です。
▽球面レンズ度数
-3.0D~-18.0D(0.5D単位)
▽屈折矯正量
-3.0D~-18.0D(0.5D単位)
▽円柱レンズ度数
+1.0D~+4.5D
▽屈折矯正量
-1.0D~-4.0D
ICL(眼内コンタクト)のレンズは大変柔らかい素材でできており、3㎜の切開創から出し入れが可能です。いったん目の中にセットしたレンズは、取り出すことが可能です。
ICLはHEMAとコラーゲンの共重合体素材「コラマー(Collamer)」から作られています。「コラマー」は含有するコラーゲンによってマイナス荷電を帯びており、タンパク質などの粒子が沈着せず、長期にわたって眼内で安定する生体適合性の非常に良い素材です。
また、「コラマー」の素材表面にはノングレア特性があり、グレアを生じに くく、 387nm以下の紫外線を90%以上カットする特性も備えています。
ICL(眼内コンタクト)の歴史は1997年にヨーロッパで認可されたことから始まりました。2001年にカナダ、2002年に韓国、2005年にはアメリカと、すでに64ヶ国で認可を受けています。20年以上前から行われていた実績ある手術であり、その件数は20万件以上になります。
日本では2010年2月に認可されました。
2014年4月、日本で生まれた「ホール(穴あき)ICL」というレンズの登場で、 もともと安全性の高かったICL(眼内コンタクト)がさらに進化しました。この新しいレンズではレンズ自体に穴を開けることで、従来行われていた、レーザーで眼の虹彩という部分に小さな穴をあける手術が不要となり、手術による合併症のリスクや眼への負担がさらに軽減されています。ICL(眼内コンタクト)はまさに次世代の視力矯正術式だといえます。
角膜の端を小さく切開し、そこから視力矯正用のコンタクトレンズを挿入するだけ。
目薬の麻酔を点眼し、 レンズを挿入するために角膜を切開します。
※切開創は3㎜と小さく、縫合しなくても時間とともに自然に閉鎖します。
切開した部分から、細長く筒状に折りたたんだレンズを挿入します。折りたたんだレンズは、眼内でゆっくりと自然に広がります。広がったレンズの両端の部分を毛様溝へいれてレンズを固定します。
もう片方の目も同じ手順でレンズを挿入します。手術は両眼行う場合でも10~20分程度で完了します。
※術後は、麻酔が切れるまで30分~1時間ほどお休みいただき、経過を確認後にご帰宅となります。
角膜を削らない視力回復眼内コンタクトレンズ(ICL)治療 from Visian ICL on Vimeo.
ハロー・グレアとは、光りが乱反射して見えづらくなる現象のことです。 例えば、夜間に車のヘッドライトを見ると光がにじんで広がり、光の周りにリング状のもやがかかったように見えたり(ハロー現象)、光がぎらついたり伸びたりして、まぶしく見えたり(グレア現象)します。
ICLやレーシックなど眼の手術を行った後に起きることもあるのですが、通常は時間の経過とともに症状が緩和されたり、慣れて気にならなくなるケースがほとんどです。