流涙症(なみだ目)治療

流涙症(なみだ目)とは

涙がでて目のふちがただれてくる、というのはよく伺う訴えです。 原因には、涙が流れていく道(涙管)が詰まっていたり、白目がたるんでいたり、まぶたが下がってきたり、結膜炎だったり、さまざまな原因があります。結膜炎等が原因の時は、点眼で涙は止まります。

しかし、点眼薬で治らないものに対しては手術を検討します。
涙に対して手術までは‥とお考えの方がほとんどだと思いますが、手術をしてもいいから涙を治したいという方に対する治療法です。

鼻涙管閉塞症

鼻涙管閉塞症とは

涙は、通常まぶたの内側の上下にある涙点という小さな穴から、鼻の方へ流れ出ていきます。その途中で管が詰まって、涙が溜まる病気です。その結果、涙が外にこぼれたり、目やにが出たり、「しろめ」が充血したりなどの症状が出現します。

涙の流れていく道(涙管)が詰まっているものに対して、従来はブジーといって細い針金のようなものを涙管に入れていって、詰まっているところに穴を開けるという治療を行っていました。 これは手の感覚に頼って手術を行っていたので、熟練者でも本来の涙管でないところに穴を開けるといったことが起こり、手術しても治らないという低い成功率の原因となっていました。

望月眼科では鼻涙管閉塞症に対して、涙道内視鏡手術及び涙管チューブ挿入術を行っております。

涙道内視鏡手術

近年になり涙道内視鏡といって0.9mmの内視鏡が開発されました。それを涙管に入れていき、閉塞部を目で確認してから、詰まっている部分を通すことが出来ます。

これにより、より確実により短時間(20分程度)で手術が可能となり、術後の成績が向上しました。通した後は再閉塞しないように特殊なチューブを涙管に入れておきます。鼻がむずむずすることがありますが多くの方は何も感じません。チューブは1~2カ月で抜きます。引っ張れば抜けるので痛くはありません。

ただ、閉塞部位によって治り方が異なります。例えば、涙点狭窄と言って入り口が細くなっているものや涙小管の閉塞に対しては9割近い成功率がありますが、鼻涙管といって奥の方の閉塞に対しては成功率が下がります。鼻の手術の合併症で涙道が閉塞している場合や、涙嚢炎と言って膿がたまっているもの、閉塞が数年に及ぶという古い閉塞に対しては成功率が50%まで下がってきます。そういう難治例に対しては涙道内視鏡にこだわらずDCRといった手術が良いかと思います。ただDCRは骨を削らないといけない手術ですので、炎症を繰り返す鼻涙管閉塞(涙嚢炎)を伴っている場合等を除けば、希望される方は少数です。

  • 鼻内視鏡 EN-7500シリーズ
  • 涙道内視鏡 LAC-06FY
  • 涙道内視鏡/鼻内視鏡システム

合併症について

手術前、痛くないように眼の内側に注射をします。その時に皮膚の下に出血して眼の周りが黒くなってしまうことがあります。「あおたん」になり1、2週間眼の周りが黒くなってしまいます。残念ながらこれは一定の確率(数%)で起きますので防ぎようがありません。見かけ上の問題で視機能に影響があるわけではありませんので、心配はいりません。また、麻酔の影響で術後数時間、ものがだぶって見えますので2~3時間ほど眼帯をしていただきます。

手術をお考えの方へ

涙がでるという方はたくさんいらっしゃいます。時々涙が出る程度であれば問題ありませんが、しょっちゅう涙が出てハンカチが手放せない方や、接客業などで涙目になって支障を来す方、眼の周りがただれてくる方など症状は様々です。涙の通り道が詰まる、細くなるなどして流涙の原因となっている場合は涙道内視鏡手術が第一選択治療と考えます。

内視鏡で確認して確実に治療するとはいっても結局のところ詰まったところを通さないといけません。麻酔はしますが詰まりがひどい時は痛みが出ることもありますし、詰まりがひどいときは通らないこともあります。内視鏡手術にも限界があり、詰まりがなかなか取れないときや痛みを来すときは手術を中断します。 無理に治療しても再発する可能性が高いからです。そういう症例は涙が出始めてから数年と時間が経っている場合や涙嚢炎といって炎症を繰り返している場合が多く、骨を削るDCR手術の方を提案します。

望月眼科では、DCR手術は行っておりませんので、九州大学病院を紹介させて頂きます。

涙は放置しても失明するわけではないので、上記のことをよく理解して頂いた上で手術を受けるかどうかご検討ください。また、麻酔の時に眼の回りに出血が起きることがあること、手術中に痛みがたまにあること、内視鏡でも治らない場合があること、再発があることをご納得された上で手術を行っております。

手術スケジュール

手術について
全例日帰り手術です。
手術当日・手術後
手術は片眼20分ほどで終了します。眼帯をして帰宅しますのでご自分で運転してくるのは控えてください。眼帯は当日夜には外すことが出来ます。 手術後2、3日で涙道洗浄を行います。後は1、2か月で涙道に入れているチューブを抜きます。チューブを抜くのはチューブを引っ張るだけなので痛くありません。

手術費用

  • 1割負担:片眼5,000円程度
  • 2割負担:片眼10,000円程度
  • 3割負担:片眼15,000円程度

結膜弛緩症

結膜弛緩症とは

高齢者はしろめ(結膜)がたるんでくることがあります。私たちの眼には涙がきれいに眼全体に溜まるような仕組みになっているのですが、結膜がたるんでいると涙をうまく溜めることができずに眼が乾いた感じになることがあります。瞬きしたときに違和感があったり、何か入っているような感じ(異物感)になることもあります。また流涙症の原因になることがあります。
症状が軽ければ放置して構いませんが、症状が強い場合は、余っている結膜を手術することで症状が緩和することがあります。

  • 術前
  • 術後

結膜弛緩症の治療

基本的には放置して構いません。ただ白目(結膜)がかなりたるんでくるものに関しては、なみだ目や異物感が強くなりますので、手術をご希望される場合があります。手術自体は余っている結膜の治療で5分くらいの手術ですのでさほど辛いものではありません。

手術スケジュール

  • 手術は日帰りでおこなっております。
  • 手術当日。手術自体は片眼5分くらい、両眼する場合は10分くらいです。手術後は眼帯は必要ありません。
  • 手術翌日。1週間後、1か月後、その後は適時診察となります。
  • 術後は眼が赤くなったり、異物感がでたりしますが、だんだん引いていきます。1、2週間もするとほとんど分からなくなります。

手術費用

※自己負担額

  • 1割負担:片眼3,000円程度
  • 2割負担:片眼6,000円程度
  • 3割負担:片眼9,000円程度

さかさまつ毛(睫毛乱生、眼瞼内反)

さかさまつ毛(眼瞼内反、睫毛乱生)とは?

さかさまつ毛とは本来、外向きに生えている睫毛(まつ毛)が、何らかの原因で内向きに生えている状態をいいます。それによりまつ毛が角膜を傷つけたり、流涙(なみだ目)や結膜炎の原因になることがあります。

さかさまつ毛の原因について
先天性のもの(こどものさかさまつ毛)と加齢性のものに大別され、いずれもまぶたの皮膚の過剰やたるみ、皮下の筋肉の筋力低下などによって生じます。 睫毛乱生(しょうもうらんせい)は、睫毛がいろいろな方向を向いている状態で高齢者に多い病気です。
症状
症状は、チクチクする、涙が出る(流涙)、まぶしい、結膜充血(眼が赤い)、眼脂(目やに)、異物感、痛みなどがあります。黒目を継続的に傷害するので、角膜が傷ついたり、濁ったりする原因になります。

さかさまつ毛(睫毛乱生、眼瞼内反)の治療

睫毛乱生
  • 睫毛抜去
    少数であれば、ピンセットで睫毛を抜きます。
  • 睫毛毛根切除術
    皮膚に麻酔の注射をし、毛根ごと取り除きます。毛根電気融解術と比べて再発しにくいメリットがあります。手術時間はさかさまつ毛の範囲にも依りますが15分程度です。
眼瞼内反症
  • Jones変法
    緩んだ下まぶたの組織を縮めて、ピンと張るようにすることで、まぶたを外側に向かせます。
    手術時間は約20分程度です。
  • HOTZ変法
    皮下組織と瞼板という組織を縫い合わせることで瞼を外側に向かせます。
    手術時間は約20分程度です。
  • 埋没法
    まぶたに糸を通して縛り睫毛を外側に向かせます。
    手術時間は5分程度です。

こどものさかさまつ毛(眼瞼内反)

こどものさかさまつ毛(眼瞼内反症)とは

先天性のもので、睫毛全体が角膜の方向を向くことにより、睫毛の多くが角膜に当たっている状態をさかさまつ毛と呼びます

さかさまつ毛の原因について
乳児期は皮膚や皮下脂肪が過剰なため顔面がふっくらし、まぶたが内側に向いていることが原因です。
症状の現れ方
まばたきが異常に多い、光を異常にまぶしがる、結膜充血(眼が赤い)、眼脂(目やに)、流涙(涙がでる)などの症状があります。また、睫毛を角膜にできるだけ接触させないように、顎を引いたり、顔を回したり不自然な姿勢を示すことがあります。

こどものさかさまつ毛(眼瞼内反症)の治療

乳児期は睫毛が細く弱いので睫毛内反があっても重篤な症状を起こすことは少なく、顔面の成長とともに2歳ころまでに自然に治ってしまうことが多いので、点眼薬を使いながら経過観察をします。5歳をこえると自然治癒の可能性が低くなるので症状により手術を検討します。成長し睫毛が太くなると角膜や結膜の表面に傷が生じることにより、角膜のにごりや、乱視を引き起こすことがあります。まぶたの異常は見た目の問題だけでなく、視力にも関係しますので、手術の有無にかかわらず、経過観察が必要です。

流涙症(なみだ目)治療についてのよくある質問

涙道内視鏡手術(涙管チューブ挿入術)をしたら必ず涙は止まりますか?

涙管がどのくらい閉塞しているか、どこが閉塞しているかによります。90%の確率で治るものもあれば50%くらいしか治らないものもあります。

涙道内視鏡手術(涙管チューブ挿入術)は痛いですか?

これも同様、閉塞が強ければ通す時に痛みが出ることがあります。痛い場合は無理せず手術を中断します。

手術後目が腫れますか?

目の腫れは多少起こります。皮下出血が目立つこともあります。

再発することはありますか?

これも同様、再発しやすいタイプもあり、再発の場合に再度同様の手術で行うか、骨を削る別の術式(DCR)を行うか、このまま経過を見るかという選択肢となります。個々に応じてアドバイス致します。

チューブが抜けることがありますか?

チューブは目頭の涙点から鼻の奥の鼻涙管開口部というところに置いているだけなので、目頭のチューブを引っ張ったりするとチューブが抜けてしまうことがありますが、自然に抜ける方は滅多にいらっしゃいません。

さかさまつ毛(眼瞼内反、睫毛乱生)

手術をしないといけないですか?

少数であれば、睫毛を抜くだけでも構いません。多数ある場合、必須ではありませんが手術をおすすめ致します。

手術の後遺症はありますか。

術後しばらくまぶたが腫れたり、あおたんになったりしますが、徐々に目立たなくなります。また、まれに再発することがあります。

こどものさかさまつ毛(眼瞼内反)

子どものさかさまつ毛は自然に治りますか?

乳児期は顔面がふっくらしているため、睫毛が盛り上がって、目の表面に当たることが多いですが、成長とともに顔面がすっきりして、2歳ころまでに自然に軽くなったり、治ることもあります。

手術しないといけないのですか?

5歳をこえると自然治癒の可能性が低くなるので、症状により手術を検討します。担当医にご相談ください。

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